ナーシングラッグ
- 安部 整
私たちE-LIFEの福祉用具専門相談員は、ご利用者様にとって最適な住環境を提供する仕事という考えを最も重視しています
単に福祉用具をお届けするのではなく、ご利用者様の根本的な問題を解決することです
今回は、床ずれ防止用具のナーシングラッグについてです
目次
1:ナーシングラッグ
ナーシングラッグは海外の床ずれ防止用具です
海外では医療機器としての扱いですが、日本では介護保険の床ずれ防止用具としてレンタルの対象になっています
ナーシングラッグの特徴は3つあります
1.動きを妨げない体圧分散
羊毛の厚さ2.5センチ程度ですが、羊毛はとても密度が高く、1㎡あたり5000本の羊の毛が生えており、人工では再現できないほど細かいです
(高品質なオーストラリアンメリノ種のメルボルン産アンショーンラムを使用しています)
密度の濃い羊毛は体重の圧迫を分散します。2.5センチ程度と薄型の為、寝返りや起き上がりなどの動きを妨げません。寝返りなどはできるけど局部に病的な骨突出がある方への対処などに有効です
2.体温調節
高齢者の方は体温調節機能がどうしても低下してしまいます
羊毛の毛面には空気が多く含まれていてその繊維自体が温度と湿度を一定に保つ性質を持っています
夏は暑いのではないか・・・吸湿性にも優れており、蒸れの対策などにはむしろおすすめです
3.摩擦の軽減
羊毛の繊維一本一本で身体を支えているため皮膚が引っ張られることが少ないので、摩擦を軽減します
剪断力(ズレる)や引張応力(引っ張られる)、床ずれの原因になりやすい応力を緩和してくれます
2:ナーシングラッグというひとつの選択肢
床ずれのリスクがある、床ずれができてしまっている方は床ずれ防止用具の静止型マットレスやエアマットを利用されることが一般的です
エアマットが苦手な方(乗り物酔いをしたような感覚になる方もいらっしゃいます)、寝返りや起居動作の動きを妨げたくない方(局部の骨突出のみ保護したい方)、体温調節機能が低下している方、蒸れ対策などが介護現場でナーシングラッグが活躍する場面です
除湿や体温調節がうまくいくと睡眠の質も良くなります
前述したように体温調節機能の低下や不眠は高齢者の方が抱える問題のひとつでもあると思います
夏場にご利用者様のご自宅にご訪問すると、暖房がついていた・・・なんてこともあります
床ずれの形を確認すると床ずれができてしまった原因のヒントになるそうです
圧迫されているか(真ん丸)、ズレているのか(楕円)など原因を追究し、普段のご生活や習慣を聞き取り、ご利用者様にとって一番良い選択ができるように福祉用具をご提案致します
著者
安部 整 福祉用具専門相談員・スペシャリスト育成プロジェクト【COLLEGE+E】責任者・日本車椅子シーティング協会認定シーティングエンジニア1989年 東京都大田区生まれ。 前職から福祉用具営業に従事し、福祉用具の選定には人間工学や医療の知識など、様々な要素が大切と気づき、自己研鑽する。 現場対応に加えて、介護・医療・人間工学・力学なども学び、より適切な福祉用具の選定に根拠と自信を持つ。 現在はそのノウハウや知識を会社全体での育成の仕事を行いながら現場も回る。