高層ビルを建てよう
- 安部 整
私たちE-LIFEの福祉用具専門相談員は、ご利用者様にとって最適な住環境を提供する仕事という考えを最も重視しています
単に福祉用具をお届けするのではなく、ご利用者様の根本的な問題を解決すること
今回は、高層ビルと車いすのシーティングについてです
目次
1:高層ビルを建てるとき
先日、科学博物館で高層ビルの建築工法について学んだ時のこと
高層ビルや家を建てる時には基礎というものがあります(様々な建築工法があります)
その基礎を硬い地盤のところに直接置くか、硬い地盤のところまで太い「杭」を何本も打っておいて、その地盤の上に建物を建てています
しっかりとした基礎があることで、建物は安定しているということです
そしてこの原理、車いすのシーティングと通じる部分があると思いました
2:高層ビルと車いす
建物も車いす上の姿勢保持も土台(基礎)がしっかりとしていないと安定しないということです
何十階という高層ビルを安定させるためには、しっかりとした基礎や硬い地盤、構造が必要です
車いす付属品のひとつに「ソリッドインサートパネル」という商品があります
車いすのクッションの下に入れる木板のことです(介護保険レンタル対象です)
ほとんどの車いすは折り畳めるようになっています。車いすを畳めるようにするには、車いすの座面をナイロンなどのシートにする必要があります。車いすを「畳む」という機能は当たり前のように感じますが、座面をシートにすることでシートに“たわみ”が生まれます
建物でいうと地盤や基礎がないところに建物を建てているイメージです
そこで「ソリッドインサートパネル」という板を入れることで、車いすクッションの下に基礎を作り、その基礎の上にクッション材を入れて座ることで、座位の安定に繋がります
車いすの中には、座面の“たわみ”をなくすために、シートが鉄板で作られている車いすもあります
その方法も一つですが、ご利用者様やご家族様の“生活”を考えると、運搬や保管する際などに車いすを折り畳むケースは多いのではないかと思います
3:安定した座位姿勢を提供する
最近主流の車いすは身長が150cm~170cmまでぐらいの方に合う寸法で製作されているケースが多いです
これは私が業務をしていて感じることですが、身長が170cm以上の男性の方の車いす座位時の臀部の床ずれの相談がすごく多いと感じます。統計を取ったわけではありませんが、仮説があります
・1つ目は先ほどの車いすの寸法が合っていない
軽量・コンパクトの車いすが主流となっていますので、身長・体重に対して車いすが小さすぎることが多いです。足のサイズが27cmの方が無理して24cmの靴を履いているイメージです
・2つ目は骨盤の形です
女性に比べて男性の骨盤の方が仙骨部の骨が突出しやすい身体の構造になっています。
(もちろん個人差があります)
・3つ目は身長が高いと重力の影響を受けやすい
高層ビルと同じで身長が高いと揺れやすくなります。その分、頑丈な基礎のように座位保持のサポートが必要になります
「ソリッドインサートパネル」は座位を安定させるための1つの方法です
私たちE-LIFEの福祉用具専門相談員は、様々な方法で安定した座位保持を提供致します
著者
安部 整 福祉用具専門相談員・スペシャリスト育成プロジェクト【COLLEGE+E】責任者・日本車椅子シーティング協会認定シーティングエンジニア1989年 東京都大田区生まれ。 前職から福祉用具営業に従事し、福祉用具の選定には人間工学や医療の知識など、様々な要素が大切と気づき、自己研鑽する。 現場対応に加えて、介護・医療・人間工学・力学なども学び、より適切な福祉用具の選定に根拠と自信を持つ。 現在はそのノウハウや知識を会社全体での育成の仕事を行いながら現場も回る。