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16疾病いえるかな?ではないのです

書いた人:安部 整

16疾病いえるかな?ではないのです

私たちE-LIFEの福祉用具専門相談員は、ご利用者様にとって最適な住環境を提供する仕事という考えを最も重視しています

単に福祉用具をお届けするのではなく、ご利用者様の根本的な問題を解決すること

今回は〝16疾病〟についてです

1. 特定疾病(16疾病)とは

(下記、厚生労働省案内を参照)
特定疾病とは、心身の病的加齢現象との医学的関係があると考えられる疾病であって次のいずれの要件をも満たすものについて総合的に勘案し、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因し要介護状態の原因である心身の障害を生じさせると認められる疾病である
1) 65歳以上の高齢者に多く発生しているが、40歳以上65歳未満の年齢層においても発生が認められる等、罹患率や有病率(類似の指標を含む。)等について加齢との関係が認められる疾病であって、その医学的概念を明確に定義できるもの
2) 3~6ヶ月以上継続して要介護状態又は要支援状態となる割合が高いと考えられる疾病
この特定疾病は福祉用具の選定・提案にも密接に関係します
加齢現象と疾病の症状を理解した上で福祉用具の選定・提案を行い、ご利用者様の日常生活の課題解決をするためにイーライフでは〝16疾病〟をテーマにした新人研修を導入しました

2.16疾病いえるかな?

私の過去の経験ですが、16疾病の病名を〝暗記〟しようとしました
もちろん介護保険法で定められている特定疾病の病名を暗記することは無意味なことではありませんでしたが、病名を覚えることが実際の介護現場のご利用者様の課題解決には繋がりませんでした
そのような経験から新人研修は16疾病を覚えることが目的ではなく、ご利用者様が特定疾病の症状によって、どのような日常生活の課題があり、福祉用具で解決するのかを考えるテーマ設定にしています
医療の内容は難しく、個人因子によっても症状は変化するため、研修内容も難しくなります
(あくまで頭でっかちに疾病の症状を覚えて決めつけることではありません。ご利用者様からのヒアリングが円滑におこえるようになるための研修です)
研修はアウトプット型にすることで、難しい内容も逃げずに意見交換を行います
そして、現場ではご利用者様に寄り添い、福祉用具のご提案ができることが研修のゴールです

3.ドライバーを買う人の目的

研修は16疾病を学ぶことが目的ではなく、福祉用具専門相談員としてご利用者様の課題解決に向き合うことが目的です
では一度福祉用具とは離れて、ホームセンターにドライバーを買いに来た人のことを考えてみます
例1)
お客様:『ドライバーください』
店員:『ドライバーはこちらのコーナーです』
お客様:『ありがとうございます。選んでみます』
おしまい。
例2)
お客様:『ドライバーください』
店員:『ドライバーはどのような目的でご利用されるのですか?』
お客様:『本棚を作るのです。家に大量の本が溢れかえってしまって』
店員:『どのくらいの本棚の大きさですか?』
お客様:『大容量で頑丈のを作りたいんだ』
店員:『そのような目的でしたら、電動ドライバーの方が良いですか?それとも既製品の大きい本棚も売っていますよ!』
お客様:『そうですか。本が整理できれば良いので既製品の本棚を見せてもらえますか?』

少し極端な例ですが、お客様はドライバーが欲しいのではなく、本を整理したいというのが真の目的でした
本質は福祉用具のご提案も同じです
例)脊柱管狭窄症のご利用者様から歩行器を介護保険レンタルをしたいとご相談を頂く
脊柱管狭窄症の方が抱える主な悩み
1.腰や手足の痛み・痺れ→起居動作・排泄動作・段差解消は問題ないか
2.手足に力が入らない→階段昇降などの段差解消は問題ないか
3.長い距離を歩くことが出来ない(間欠性跛行)→歩行器は必要か・外出時の休憩場所はあるか
4.排尿障害→夜間帯の排泄は問題ないか
5.通院が大変・保存療法→通院の負担が大きい・外出や運動は行なえているか
他にも検討内容はあるかもしれませんが、ご利用者様は歩行器をレンタルしたいのではなく、何か日常生活の課題を抱えていて、解決したい目的があります
ご利用者様の疾病の症状を予測した上で歩行器をご案内するか、数台の歩行器を〝配送〟するかでは、ご利用者様の課題解決できる確率が大きく変わります

イーライフでは16疾病いえるかな?ではなく、16疾病が起因となるご利用者様の課題を考え、福祉用具の力でご生活を支援すること目指します

 

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記事を書いた人

【福祉用具専門相談員・スペシャリスト育成プロジェクト【COLLEGE+E】責任者】安部 整
安部 整 【福祉用具専門相談員・スペシャリスト育成プロジェクト【COLLEGE+E】責任者】

1989年 東京都大田区生まれ。 前職から福祉用具営業に従事し、福祉用具の選定には人間工学や医療の知識など、様々な要素が大切と気づき、自己研鑽する。 現場対応に加えて、介護・医療・人間工学・力学なども学び、より適切な福祉用具の選定に根拠と自信を持つ。 現在はそのノウハウや知識を会社全体での育成の仕事を行いながら現場も回る。

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